映画と弓(後半戦)

後半戦は映画もマイナー気味ですし、ウンチクもマニアックになっていきます(笑)

●ハンガー・ゲーム
主人公のカットニスは、ロングボウとリカーブボウを使います。
ロビンフッドでも登場したロングボウは父親の自作ということになっていて、森の倒木の中に隠してありますが、これは理にかなった演出です。ロングボウはシンプルなD型で、ストリングを外すとほぼ直線的な棒状になりますから、虫食いなどで内部が空洞になった倒木などの中に隠す(入れる)には好都合なのです。
またシンプルな形というのは作るのも楽ですから、自作という想定に現実味を帯びます。もちろん、フィクションですからなんでもかんでもリアルにする必要はありませんが、ズレた演出ばかりよりも状況に現実味を感じられた方がより楽しめるでしょう。
このシリーズでカットニスは、そのロングボウ以外はリカーブボウを使います。
リカーブボウの使い方として特別なものは感じませんでしたが、先に出ていたロングボウとの対比で、洗練された環境やその弓が製造できた技術力の差を表しているのでしょう。とはいっても、他に登場する航空機など桁違いの技術が詰まった物が登場しますが(笑)

●神弓
これは韓国が舞台で、「丙子の乱」を時代背景として持っています。サブタイトルがちょっと…ですが、アクション映画として弓好きには楽しめる作品でしょう。
弓にフォーカスしてみると、満州弓と朝鮮弓(角弓とも言われる主人公側が使っている弓に勝手に名前をつけました)は見た目が似ていますが、サイズに違いがあります。その辺りを映画の中でも軽く触れているのは、驚きました。
劇中、主人公は矢を曲げて飛ばすことができ、障害物の後ろの敵をも射抜きます。この映画が公開された後にYoutubeでも「カーブアロー」などのタイトルを付け、なんとか再現して動画をアップしている人もいますが、現実的な効果には疑問が残ります。とはいえ、アクション映画の味付けとしては面白いですね♪
もう一つの見所として、長さの極端に短い矢を使うシーンが出てきます。コレは実在する技術で、日本の和弓にも「管矢」という名称で残っていたりもします(流派等で呼び名が違っているのも存在するかもしれません)。※ここでは劇中のものも管矢として表記させてもらいます。弓矢というものは、基本的に矢をつがえ引き絞った時に弓と矢が交わっているものです。矢が短くてヤジリが弓よりも手前にあると、弓を押している自分の手を怪我するリスクが高まるからです。例外は矢の飛距離を競うフライト競技と、この管矢があります。短い矢を使うと安全上のデメリットは大きいですが、矢を短く軽くできるというのは飛距離を伸ばすだけでなく、少資源ですむので戦争の主要武器だった頃には大きなメリットにもなったでしょう。

●キリングゲーム
映画の背景などは全て割愛し弓目線で話を進めると、この映画の戦いはコンバウンドボウvsロングボウでスタート(?)します。コンパウンドボウはランボーも使っていた滑車付きの弓で、パワーと精度に秀でますが、良くも悪くも弓が持つプリミティブなロマンや印象からは少し離れ、製造メーカーの技術力や科学力など近代的な匂いが強くなります。
話を戻すと、コンバウンドボウvsロングボウでスタートしますが、コンパウンドボウは早々に壊れます!(ランボーの時のタフなイメージとは逆ですね)そして、即席のサバイバルボウを自作し優勢を取り戻します。
ここで、サバイバルボウというジャンルが登場しますが、サバイバルボウは2種類あります。サバイバル時に備えておくための小さく収納できる弓と、現場で即席で作る弓です。この映画で登場するのは後者です。
即席で作るサバイバルボウは他の映画でも時々登場しますし、各種サバイバルの教本でもよく目にしますが、既成品の弓に比べると圧倒的に性能は低いので、過信をしないことです。

さて、前編後編と2回に渡って書いてみました。少しでも弓が登場する映画はまだまだたくさんあります。そんな時に、どんな弓を使っているのか?どんな使い方をしているのか?など、少しでも映画を見る時のスパイスになれば幸いです。

次回は矢に目を向けてみましょう。

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