鍛造2

焼鈍しで灰の中に埋めた鋼材を取り出す時は、いつも宝探しの気分を味わえます。灰の中に手を突っ込みゴソゴソ。硬く重い手応えを感じたら引っ張り出します。今回は鍛造といっても、素材作りですので、灰から出てきた姿はブサイクそのもの(笑)

ちなみに、この灰も自分で木や紙を燃やし作ります。灰を作り始めてから我が家のシュレッダーはお役御免となりました。

水洗いしたら、マジックで切り出すラインを書いて切り、削っていきます。ここから先の作業は、削り出しの工程とほぼ同じなので、細かい説明は省きます。工程が気になる方は過去ブログを覗いてみていただけると嬉しいです。

削り出しで作る時は焼入れを外注することもありますが、鍛造の時は焼入れも必ず自分でやります。

削り出しでナイフを作る時は、アウトラインを丁寧にケガキますが、鍛造の時はマジックでアウトラインを鋼材に適当に書きます。濱田流のモノ作りは実用上の要所だけ押さえれば、表面仕上げは大雑把なんですが、鍛造の時はそれがさらに酷くなります!ハッキリ言うと雑になります(笑)雑に作った鍛造の肌が好きなんです♪

日本刀の様に究極に完成されたモノの美しさは理解できますし良さも感じますが、田舎の野鍛冶が作る道具類の製作途中のごとく雑な仕上げに惚れます。野鍛冶のその雑な仕上げは、コストダウンも目的の一つですが、最終仕上げは使用者が自分の好みに合わせて仕上げて使うからです。実際、製作途中といえば製作途中ですね。だから実用道具として価格を抑えることもできるのです。

さらに、その最終仕上げをしていない道具を、どの様に仕上げて使用しているのか?それを見るとその使用者のウデや仕事に対するこだわりが見えてきます。時に言葉よりも雄弁に語ってくれますよ。現代の綺麗に大量生産される道具達では味わえない趣と世界が広がっています。

鍛造の一番の面白味はハンマーで仕上がりの形に近付けることですが、今回のように素材を作ることができるというのも大きな魅力です。というのも、削り出しの作り方では、完成形の形がそのまま素材の中に埋まる様なサイズの素材が必用です。しかし、鍛造で素材が作れるなら、コイルスプリングの様に曲がっていても問題ありませんから、まっすぐである必用さえありません。そうなると、ゴミとして捨てられていた物の中に宝物を見つけることができます。拾われたそのスクラップは鍛造によって生まれ変わり、第二の人生(?)を歩むことになります。

車のスプリングなら、今まで人や荷物を乗せて何十万キロも走り回っていたその鋼が、今度は人の手の中で活躍するのです。

ヤスリなら、削る道具としての天寿を全うした後に、切る道具として生まれ変わるのです。

ロマンを感じませんか?

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