刃物を研ぐには砥石が一般的です。様々な形の簡易型シャープナーもありますが、あくまでも応急処置に過ぎません。逆に、ランスキーシャープナーの様に、砥石を使いつつ研ぎ角を一定に保ったまま研げるジグもあります。


刃物を研ぐ際に最重要項目は「研ぎ角を一定に保つ」事ですから、ランスキーシャープナーは誰でも、技術がなくても刃物を上手く研げます。
ではなぜ私がランスキーシャープナーを常用していないのか?それは、面白みがないからです(笑)。毎回決まった手順で、毎回同様に正しくジグを装着し、ほぼ何も考えずに無心で手を動かす…  それはただの作業なんです。正直途中で寝てしまったことがあります!
ですから、私は基本的にオーソドックスな砥石を使って研ぐのです。毎回がチャレンジです♪

刃物の研ぎ方はベテランでも十人十色ですが、私はダイヤモンド砥石で荒研ぎ→人工(合成)砥石→天然砥石で仕上げの順番で研ぎます。最初にダイヤモンド砥石を使う理由は、研削力が高いのと、砥石の平面を修正するのがメンドクサイというズボラな理由からです!

次に人工(合成)砥石を使う理由は、30年近く前に買った砥石がちょうど使いやすかったので、ずっとそのまま使っているだけです。なかなかダメにならないので、ず〜っと使っています。死ぬまで使えるんじゃないかな?

最後に天然砥石です。天然砥石は、奥が深すぎます!正直よくわかりません(笑)インチキな商品も多いし、いい加減なコメントや売り文句も溢れています。そもそも正しく天然砥石を判断できる人がどれほどいるのでしょう?今の私には無理です。だから私の場合は、ある優秀な職人さんから言われるがまま購入したりしています(爆)
天然砥石は難しくも面白いです。人工(合成)砥石以上に刃物との相性もあります。しかし、相性の良いコンビだと綺麗に早く研げるんです。

もちろん、この組合せ以外でも全く問題ありません。細かい道具の違いよりも、先にも述べた「研ぎ角を一定に保つ」ことの方が圧倒的に重要だからです!

どれぐらい研げているか?の目安はみなさんどうやって判断していますか?僕は髭を剃って判断します。腕や足の産毛は思ったより簡単に剃れます。ですから最低でも産毛がそれる状態でないと許せません(笑)産毛チェックの次は髭チェックです。顎周辺に刃を当てます。バリが残っていると顔面が痛いです!逆に、研ぎ角が一定でなく刃が丸まっていると、痛くはありませんが髭が逃げてほとんど剃れません。
安全には気をつけて、みなさんもチャレンジしてみてください♪

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

年明け一発目のブログは、去年第1期が開催されたナイフ製作ワークショップ 2期目のご案内です。1期の参加者さんたちからの反応、1期に参加できなかった方からの要望にお応えするために、2021年最初のワークショップとなりました。
トップページ左側メニューの中の「ワークショップ」をご覧ください。

セレーションの研ぎ直しについて今回は書いてみます。
前回のブログで、セレーションは一度研ぐと切れ味が長持ちすると書きましたが、刃物である以上使えば切れ味は落ちますし、切れ味が落ちれば研ぐ必要が出てきます。プレーンの刃の場合は板状の普通の砥石で十分研げますが、凹凸のあるセレーションは通常の砥石だけでは研げません。
セレーション用の砥石という断面が三角形の棒状の砥石もありますが、私はイマイチ上手く使うことができませんでした。ですので、ダイヤモンドヤスリの丸と半丸を使用して研ぎ直します。刃の表(通常のセレーションだと刃の左面。大抵はメーカーロゴなどが入っている側)の凹を一つずつ角度を一定に研いでゆくのです。プレーンの様に根本から先端まで一気に研ぐことはできません。
こんな事を言うべきでないでしょうが、正直言ってメンドクサイです!これがセレーションの大きな弱点だと思っています。

全ての凹を丁寧に研ぎ上げる、気の遠くなるような作業を終了すると刃の裏面にバリが出ますので、通常の砥石に軽く当ててバリを落とせば完成です。
裏面はラクチンです♪

セレーションは、「〇〇で研げばすぐに切れるようになる」とか「〇〇すればいい」などのオススメがある方は、ぜひ教えてください。
お待ちしています。

以前、「セレーションは繊維状のものを切るのに適している」と書きましたが、それ以外でもプレーンより活躍する場面の中からもう一つ紹介したいと思います。
それは細い丸棒状のものを削り出すときです。この一言を聞いただけでは「?」と感じるでしょうから、例を上げていきたいと思います。

・キャンプ地で箸を作るとき
多くの方はフィールドへ割り箸やキャンプ用の箸を持参されると思いますが、器や箸を現地で作るのも楽しいものです♪私は基本的に現地で作ります。竹を使うことが多いですが、ほんのり竹の香りがしていいものです。カップも竹で作ります。酒を飲む仲間からは「酒にも竹の香りが移り旨い!」と大好評です。

・焼串を作るとき
箸と似ていますが、焚火やBBQで串焼きをするときの串も現地で作ると、荷物が減るだけでなく仲間からの称賛を得れるかも?

・摩擦式の火起こし道具を作るとき
キリモミ式、ヒモギリ式、ユミギリ式、マイギリ式は、どれも棒状のパーツが必要となります。それらの棒を削り出すときにもセレーションに軍配が上がりがちです。

・矢を作るとき
自然の中で弓矢の矢を作るときは、木や竹(笹)から矢を作るのが一般的です。これまで紹介してきた他のものと違い矢は長いので、表面を丸く削りやすいセレーションの長所が際立ちます。細い竹から矢を作るときは節を削る程度ですむので、日本では竹が主に利用されてきました。

※日本では弓矢による狩猟は禁止されています!

どうでしょうか、いくつか例を紹介してきましたがどれも棒状のパーツを削る場面でセレーションが活躍しています。プレーン刃でももちろん同じパーツは削れますが、比べてみるとセレーションの方が使いやすいことが解ります。プレーン刃を温存し研ぐ回数を減らすためにも、適材適所で使い分けてみるのも良いですよ。セレーションを持っている人はぜひ試してみてください。

セレーションについては、前回お伝えしたように数回にわたって書こうと思いますが、全部読むまで我慢できずに購入する人がいるかもしれない!と思い、個人的な購入時の注意点を先に書いておこうと思います

この2本のセレーションを見比べてみてください。下のナイフは非常に荒く研がれたままで、上のナイフは丁寧にピカピカに研ぎ上げられています。綺麗に仕上げ砥石までかけられると、見栄えも良くいかにも切れそうですが、下の荒い目がそのまま残っている方が圧倒的によく切れます。プレーン刃の場合だと切る対象物次第で研ぎ方は変えますので、ピカピカに仕上げた方がいい場合もありますが、セレーションだとピカピカの刃は滑ってしまい、良いと感じた事がありません。観賞用にするのでない限りは、ザラザラと荒研ぎのままのナイフを購入されることをお勧めします。

セレーションのナイフを買う際にもう一つ選択肢があります。ブレードのほぼ全域がセレーションとなっている物と、刃の手前のみセレーションになっているハーフセレーションと呼ばれるモデルがあります。これも個人的な意見ですが、ハーフセレーションは中途半端な感じがするので、プレーン刃とセレーションは、それぞれを独立して持つほうが好みです。たしかにハーフセレーションは1本で両方の長所を活かす事も可能ですから、ハーフセレーションを好むベテランがいるのも事実ですが、私はナイフを紛失したり故障したりした時のために、バックアップの意味を兼ねて複数用意するようにしています。

刃先のコンディション、そしてフルセレーションかハーフセレーションか?
この2点がセレーションのナイフを購入時に意識するべきポイントです。
参考にしてみてください。

セレーションという刃の形状があるのをご存知でしょうか?このブログを見てくれているマニアックな方はご存知の方が多いでしょうが、プレーンとも呼ばれる通常の刃と違い、パン切り包丁の様に波打った形の刃を指します。(今回紹介するセレーションは昔流行ったサバイバルナイフの峰側に付いているノコ刃の事ではありません)

メーカーによっては同じモデルでも両方のブレードタイプを用意しているので、プレーンとセレーションのどちらが良いか?ときどき尋ねられますが、どちらにもメリットデメリットがあり、その答えは切る対象によって変わります。セレーションが得意とする相手は、硬い繊維質のロープなどです。工事現場でよく使われるトラロープや荒縄の様な硬い天然素材のロープはプレーンの刃で切ろうとしても刃が滑りがちで、切りにくいのです。その様な対象をセレーションで切ると、バリバリと切ってくれるのです。

ここで「これまでの人生の中で、ロープ切るシチュエーションなんて無かったし!」と思われた方、その通りです。全体的にはプレーンの刃の方が使い勝手は良いです。しかし、水辺で活動する人達は重宝することがありますので、ダイバーズナイフやリバーナイフではポピュラーな刃なのです。また、船乗り、ダイバー、リバーガイド、レスキャー(救助者)は、すばやくロープ類を切断できるか否かが、命に直結する場合があるのでなおさら重要になってきます。

その様に、セレーションはプレーンの様な王道にはなれませんが、プレーンの苦手分野で大活躍するので、廃れることなく根強い愛用者がいるのです。そんなセレーションについて今回から数回書いていこうと思います。お付き合いください。

ナイフ製作ワークショップで、作業手順の説明用に受講生の皆さんと同時進行で作っていたナイフのデビュー戦が先週末行われました。仲間からの誘いがあり、ティピーで一泊することになったんです。初めて行く場所だったので、場所のイメージもわかず、ティピーの骨にするのにちょうどいい竹があるかもわからなかったので、ドキドキのデビュー戦。

竹を割り、食器や串を作り、火起こしを手伝い、肉(ベーコン)を切り、大活躍してくれました。

研ぐと素直に綺麗な刃がついたので切れ味もよく、耐久テストのために意図的に荒っぽい使い方もしましたが、刃の欠けもなく、満足のいく一本になりました。今後の活躍も期待します♪

先週末、ナイフ作りワークショップの最終日(3日目)が終了しました。今回の作業は、グリップパネルの完成、シース(鞘)作り、研ぎです。グリップは、2日目に荒削りまでは行っていますので、そこからさらに細かく削り足し、自分の手に合うようにしていきます。

グリップが完成したら次はシースです。材料はカイデックスと言われる樹脂の板を使います。このカイデックスは約180℃でグニャグニャに柔らかくなるので、温まっている状態でナイフの形にプレスして形成します。天然素材と違って、水に強いので、川や海などの水辺での使用や雨などに気を使う必要がなく、実用ナイフのシースにはもってこいの素材です。

そして最後は研ぎ上げて完成です。普段使用した包丁やナイフは砥石を使って研ぎ直すと思いますが、一度も刃が付いたことのない状態から砥石だけではを付けるのは、ずいぶんと大変です。なので、耐水ペーパー(紙やすり)の#100で荒削りを行い、その後に砥石に移行します。

こうやって、3日間で各人のナイフが完成しました。スケジュールの都合で後日代替日を設定している方もいますが、ここまでの進行具合を見ていると、全員3日間で完成するでしょう。根気が必要な工程はありますが、ワークショップ参加前に想像していたより使用する道具も少なく、簡単に完成したのではないでしょうか?皆さんが安全に正しい刃物の使い方をされると信じています。

先日、斧の研ぎを依頼されました。包丁やキャンプ用ナイフの依頼は珍しくありませんが、斧は使っている人が少ないせいでしょうが依頼件数は少ないです。また、ナイフのように切ると言うよりも重量を利用して叩き切る事が多いので、多少刃のコンディションが悪くても結果的な切れ味としては影響が少ないのです。更に珍しいものは、クワガタ取りの道具(斧とツルハシの間の子の様な物)も依頼を受けたことがあります。

斧はナイフに比べ刃が柔らかいのが特徴です。先に述べたように、木などの切る対象に叩きつけることが多いので、刃が欠けにくいようにわざと柔らかく仕上げてあるのです。ですから、普通の金物ヤスリで研げる物も珍しくはありません。この斧は思ったよりも硬かったですが、それでもナイフや包丁よりも柔らかかったです。

今回の斧は中古で買ったそうですが、使用痕はありましたが、研いだ形跡はありませんでした。前の所有者は、おそらく試しに買って何度か使ってみたが、良い使い方が見つからなかったのかもしれません。この斧はカーペンターズハチェットとも言われるもので、直訳すると「(木工)大工の手斧」といった感じでしょう。ハンマーヘッドと刃の下側に釘抜きが付いているので、カーペンターズといった名前がしっくりきます♪

他の多くの斧に比べ刃が直線な事も特徴的です。木を加工する際に刃が滑りにくくするためなのでしょう。個人的には多少弧を描いた刃の方が好みですが、繊細な加工をするならこの様な直線刃に軍配が上がります。

自分の斧はよく研ぎますが、久しぶりに他人の斧をまじまじと見る機会になり、ちょっと楽しいひと時でした♪

ワークショップとはあまり関係ありませんが、自分でも1本作ってみました。ワークショップで参加者の皆さんが作っているナイフは、焼入れや焼き戻しの熱処理は、専門業者へ外注していますが、このナイフは自分で熱処理を行います。

実は、鍛冶屋の職人でさえ失敗することもあるぐらい、熱処理をきちんと行うのは難しく、しっかりした設備か腕と経験が必要ですが、業者の様な設備は持っていないので、勢いと経験で乗り越えます(笑)。しかもさらに都合の悪いことに、ナイフ作りの全工程の後半に行う作業なのです!焼き入れで失敗すると、その失敗度合いにもよりますが、

今回の焼き上がり具合は…

見た目はイイカンジですが、研ぎあげてみないとなんとも言えません。さて、どうでしょうか?