先週末、ナイフ制作ワークショップの2期目が終了しました。

最終日は、グリップを仕上げ、シース(鞘)を作り、刃を研ぎ上げて終了となります。

1期のときは、グリップの仕上げ作業に時間がかかりすぎてしまい、全体的に研ぎの時間が少なめでしたが、2期ではグリップを丁寧に仕上げてから当日を迎えた人たちばかりだったので、比較的研ぎに時間を割けました。

とは言っても、「研ぎ」は教えることは少ない半面、実際に自分でやってみて慣れるための時間が沢山必要なので、今回の講習中だけでバッチリ腕が上がることはありません。それでも、重要なポイントを全員が理解することはできたんじゃないでしょうか?研ぎのレクチャーなのに砥石をほとんど使わず、#100の耐水ペーパーだけ!そして最後に秘伝のボロ布をちょっと使うだけで、ブッシュクラフトで使用するには全く問題ないレベルまで仕上げる事ができます。それを実演して見せた時にみた受講生たちの驚きの顔は、こちらが嬉しくなりました♪

ぜひ今後も練習して、せっかく作ったナイフを切れる状態に維持して下さい。

このワークショップは、単純に1本のナイフを作る(手に入れる)だけではありません。サンダーを使えば金属も樹脂も切って削ることができますし、ドリルで穴を開けることもできます。シース制作で使用した素材のカイデックスはナイフのシース以外にも、スマホやライトのホルダーも作ることができます。受講された方の新たなアイデアや作品の誕生を、楽しみにしていています。

合計3日間、お疲れ様でした。

焼鈍しで灰の中に埋めた鋼材を取り出す時は、いつも宝探しの気分を味わえます。灰の中に手を突っ込みゴソゴソ。硬く重い手応えを感じたら引っ張り出します。今回は鍛造といっても、素材作りですので、灰から出てきた姿はブサイクそのもの(笑)

ちなみに、この灰も自分で木や紙を燃やし作ります。灰を作り始めてから我が家のシュレッダーはお役御免となりました。

水洗いしたら、マジックで切り出すラインを書いて切り、削っていきます。ここから先の作業は、削り出しの工程とほぼ同じなので、細かい説明は省きます。工程が気になる方は過去ブログを覗いてみていただけると嬉しいです。

削り出しで作る時は焼入れを外注することもありますが、鍛造の時は焼入れも必ず自分でやります。

削り出しでナイフを作る時は、アウトラインを丁寧にケガキますが、鍛造の時はマジックでアウトラインを鋼材に適当に書きます。濱田流のモノ作りは実用上の要所だけ押さえれば、表面仕上げは大雑把なんですが、鍛造の時はそれがさらに酷くなります!ハッキリ言うと雑になります(笑)雑に作った鍛造の肌が好きなんです♪

日本刀の様に究極に完成されたモノの美しさは理解できますし良さも感じますが、田舎の野鍛冶が作る道具類の製作途中のごとく雑な仕上げに惚れます。野鍛冶のその雑な仕上げは、コストダウンも目的の一つですが、最終仕上げは使用者が自分の好みに合わせて仕上げて使うからです。実際、製作途中といえば製作途中ですね。だから実用道具として価格を抑えることもできるのです。

さらに、その最終仕上げをしていない道具を、どの様に仕上げて使用しているのか?それを見るとその使用者のウデや仕事に対するこだわりが見えてきます。時に言葉よりも雄弁に語ってくれますよ。現代の綺麗に大量生産される道具達では味わえない趣と世界が広がっています。

鍛造の一番の面白味はハンマーで仕上がりの形に近付けることですが、今回のように素材を作ることができるというのも大きな魅力です。というのも、削り出しの作り方では、完成形の形がそのまま素材の中に埋まる様なサイズの素材が必用です。しかし、鍛造で素材が作れるなら、コイルスプリングの様に曲がっていても問題ありませんから、まっすぐである必用さえありません。そうなると、ゴミとして捨てられていた物の中に宝物を見つけることができます。拾われたそのスクラップは鍛造によって生まれ変わり、第二の人生(?)を歩むことになります。

車のスプリングなら、今まで人や荷物を乗せて何十万キロも走り回っていたその鋼が、今度は人の手の中で活躍するのです。

ヤスリなら、削る道具としての天寿を全うした後に、切る道具として生まれ変わるのです。

ロマンを感じませんか?

本日、車のスプリングからナイフを作るべく、作業開始。

この車のスプリングは、友人からもらったワンボックスカーの板バネです。過去にも車のサスペンションスプリング(板バネやコイルスプリング)や、バッティングセンターのピッチングマシンに使用されているスプリングからナイフを作ってきました。他の鋼材も使ってきましたが、ものすごく錆びやすいというナイフとしては大きなデメリットを持っているくせに、妙に優しい切れ味に仕上がることが多く、魅力を感じるのです。火造りと呼ばれる鋼を赤めて叩いて変形させる工程でも素直じゃなく、苦労させられるのですけどね。

車の板バネですから、全長そのまま使うと長すぎるので、適度なサイズに切り出します。厚みが約1cmもあるので、完成予定のナイフよりも小さめに切り出します。

材料が切り出せたら、イメージ通りの鍛冶屋作業。炉で焼いて、叩いて変形させていきます。愛用のこの炉も自作です♪

火造り終了。元の板バネよりもずいぶん薄くなったのがわかると思います。反りも無くなり、真っすぐになっていますね。もう少し柔らかい素材なら、この火造りの工程でもっと完成形に近い形に近付けますが、スプリング鋼は硬いので、「板状の素材を作る」といった感じになりがちです。もっと腕が上がればスプリング鋼でも、この工程でほぼ完成形の形に楽にできるのではないかと夢見ています。

火造りが終わったら最初の熱処理、「焼鈍し」です。全体を真っ赤に焼いて灰の中に入れ、本日の作業は終了。続きは明日です。

先週末、ナイフ制作ワークショップ2期の2日目が行われました。今回は、2期生に加え、1期の方で3日間参加できなかった方も加わりました。

1期の方は、約半年前に削った自分のナイフが焼き上がり、刃物として命が吹き込まれた状態になっているのを見て、ニンマリ♪これは皆なるんです(笑)

焼入れ前までは「ナイフの形をした鉄板」だったものが、「ナイフ」になっているんです。自分で焼入れを行うと、難しく失敗の多い工程なだけに、無事に焼き上がったときの喜びはとても大きいですが、その経験がない人でも、自分で作っているナイフの焼き上がった姿をみるとニンマリするんです。2期のみなさんも来月ニンマリしますよ♪

今回の主な作業は、ベベル削りとグリップの荒削り。ベベルとは、刃の傾斜部分です。これを削らないと本当にただの板なのでナイフを作るからには重要なのですが、メンドクサイのです!メンドクサイからといって作業が雑になると、簡単に明らかな失敗につながり、完成後も消えない大きな傷が残る事になります。2期の方は、その根気のいる作業を黙々とこなし、綺麗なベベルを削り出していました。

2日に分けて作業したナイフは、一括して熱処理業者へ発送済み。工場では本日熱処理が行われています!

みんなのナイフがうまく焼き上がるよう、祈っています。

刃物を研ぐには砥石が一般的です。様々な形の簡易型シャープナーもありますが、あくまでも応急処置に過ぎません。逆に、ランスキーシャープナーの様に、砥石を使いつつ研ぎ角を一定に保ったまま研げるジグもあります。


刃物を研ぐ際に最重要項目は「研ぎ角を一定に保つ」事ですから、ランスキーシャープナーは誰でも、技術がなくても刃物を上手く研げます。
ではなぜ私がランスキーシャープナーを常用していないのか?それは、面白みがないからです(笑)。毎回決まった手順で、毎回同様に正しくジグを装着し、ほぼ何も考えずに無心で手を動かす…  それはただの作業なんです。正直途中で寝てしまったことがあります!
ですから、私は基本的にオーソドックスな砥石を使って研ぐのです。毎回がチャレンジです♪

刃物の研ぎ方はベテランでも十人十色ですが、私はダイヤモンド砥石で荒研ぎ→人工(合成)砥石→天然砥石で仕上げの順番で研ぎます。最初にダイヤモンド砥石を使う理由は、研削力が高いのと、砥石の平面を修正するのがメンドクサイというズボラな理由からです!

次に人工(合成)砥石を使う理由は、30年近く前に買った砥石がちょうど使いやすかったので、ずっとそのまま使っているだけです。なかなかダメにならないので、ず〜っと使っています。死ぬまで使えるんじゃないかな?

最後に天然砥石です。天然砥石は、奥が深すぎます!正直よくわかりません(笑)インチキな商品も多いし、いい加減なコメントや売り文句も溢れています。そもそも正しく天然砥石を判断できる人がどれほどいるのでしょう?今の私には無理です。だから私の場合は、ある優秀な職人さんから言われるがまま購入したりしています(爆)
天然砥石は難しくも面白いです。人工(合成)砥石以上に刃物との相性もあります。しかし、相性の良いコンビだと綺麗に早く研げるんです。

もちろん、この組合せ以外でも全く問題ありません。細かい道具の違いよりも、先にも述べた「研ぎ角を一定に保つ」ことの方が圧倒的に重要だからです!

どれぐらい研げているか?の目安はみなさんどうやって判断していますか?僕は髭を剃って判断します。腕や足の産毛は思ったより簡単に剃れます。ですから最低でも産毛がそれる状態でないと許せません(笑)産毛チェックの次は髭チェックです。顎周辺に刃を当てます。バリが残っていると顔面が痛いです!逆に、研ぎ角が一定でなく刃が丸まっていると、痛くはありませんが髭が逃げてほとんど剃れません。
安全には気をつけて、みなさんもチャレンジしてみてください♪

おかげさまで、5月に開催予定の弓製作ワークショップの参加希望者が定員に達しました。ありがとうございます♪

今回参加しようと思っていたのに間に合わなかった方、スケジュールが合わずに参加を断念された方、参加するつもりはなかったのにジワジワ参加したくなってきた方、ご安心ください、日程はまだ未定ですが、年内に最低でも再び開催する予定です!日程の発表をお待ちください。

昨日(日曜日)ナイフ制作ワークショップの二期目が始まりました。清々しく晴れた朝の集合場所で受講生の方々と合流し、気持ちよく講習スタート♪ 灼熱地獄だった一期の初日よりも作業に集中できる気温でした(笑)

受講生もインストラクターも様々なアウトドア経験の中でナイフは使用してきています。興味もこだわりもあります!?気を抜くとついついナイフ談義におちいりそうになるので、講習が始まると急いで実作業へ移行します。

今日の作業で使用する電動工具はディスクサンダーが95%。そうです、例の頼りになるアイツです(笑)。確かに頼りにはなりますが、けたたましい音を発しますし、ちょっと手元が狂っただけで鋼の板にさえ深い傷を付け、仕上がりにちょっとした影を落とします。ですが、今回の参加者の皆さんは、丁寧な作業で安全に綺麗に加工され、1日目の工程を見事クリアされていました♪

この初日の工程は、ただの板からナイフの形を切り出す、変化と達成感の大きい工程なので大好きです。作業終了後に見た参加者の皆さんの笑顔からも同じ様に感じてくれているのではないかと、思っています。次回、2日目の工程は地道な作業が大半なので、全3日間の中で一番の頑張りどころです。一緒に乗り越えましょう♪

お疲れ様でした。

ヤジリは「鏃」とも「矢尻」とも書きますが、英語では「Arrowhead」です!矢の頭ですよ!イメージが逆ですね。

そんな鏃は太古から極めて多くの種類が生まれてきました。
・鉛筆の先端のように、ただ尖っているもの
・矢印の形をした、イメージ通りのもの

この2種類は王道ですが、火を点けて飛ばすもの、笛付きなども昔はポピュラーでした。中には鏃なのに尖っていないものもありますし、鏃に銃弾を仕込むものまで作られています!
その他も数限りない形が大きな期待と共に生まれ、そしてその多くが夢見たほどの成果がなく消えていきました。
鏃は、弓矢を構成する全パーツの中で、一番多種多様で入れ替わりも激しいのではないでしょうか?
現代でさえ、ハンティング用として新しいモデルが登場し続けています!

※日本国内では(弓)矢による狩猟は禁止されています!

弓の性能がどれほど上がろうと、矢のシャフトの素材が進化しようと、それは鏃を活かすためのものに過ぎません。獲物、昔の戦いであれば敵兵でもありますが、鏃が相手に働きかけ効果が発生するのです。鏃は小さな部品ですが、本来弓の存在意義の全てが詰まっていると言っても過言ではありません。人々の生活と希望も詰まっています。戦であれば戦っている人の栄誉や、果ては一国の行く末を左右することもありました。
矢を手にとった時、小さな消耗品である鏃に込められたものを感じてみてください。

矢羽根の素材は、天然の鳥羽→プラスチック→ビニール→フィルムと変化してきました。
プラスチック製のハードベインと呼ばれるスタイルは今日ではほとんど見られなくなりましたが、他の3種類は全て今でも使われています。
それぞれの素材は、どれもメリットとデメリットがありますので、そこに目を向けても面白い違いと人の工夫の歴史が感じられるのですが、そもそも矢羽根はどの様な原理で矢の飛翔を安定させることに貢献しているのか?根本的な部分を知ってみましょう。

前回のブログで、「矢羽根は軽いブレーキをかける事が矢の安定を生む」と書きました。その効果は「Drag=ドラグ」と呼ばれるもので、直訳は引きずるという意味です。その名前がしっくりくるか否かは人それぞれでしょうが、前回紹介した、空気抵抗による軽いブレーキ効果を矢の後方に与える事で矢に安定した直進性を与えるものです。

矢を安定させるもう一つの効果は「Spin=スピン」と呼ばれるものです。コレはコマが回転している間は安定しているように、矢を回転させることで安定を得る方法です。銃弾も散弾銃以外は基本的に同じ原理で弾を回転させ安定を得ますが、回転を得る方法は矢と違います。銃の場合は銃身内にライフリングと呼ばれる螺旋状の溝が掘られてあり、銃弾がその溝に食い込みながら発射されることで 回転を受け取るのです。矢の場合は矢羽根の空気抵抗で回転を発射された後から得ます。ですから、シャフトに対して羽根を付ける角度を変えることで、矢の回転数を変化させることが可能です。

二枚の写真を比べてみると、ほとんど真っ直ぐ羽根が付いている左側に対して、右の写真では羽根の角度が強いのがわかると思います。
スピンの効果を得ようと羽根に角度を付けると、スピン効果と同時に空気抵抗が増すのでドラグ効果も高まります。

おさらいすると、綺麗な矢の飛翔には矢羽根が重要で「ドラグ」と「スピン」の効果を生むことができる。ということです。

今回は、矢を構成するパーツとその役割を紹介します。

前回のブログで矢の素材について触れましたが、それはシャフトや矢柄(ヤガラ)と呼ばれる棒状の主要部分の事です。
矢を構成するその他の基本的なパーツとしては、シャフトの先端に鏃(ヤジリ)=ポイントが付き、シャフトの後部には矢羽根(ヤバネ)=フェザーが付き、後端には弦を挟み込み位置を固定するノック=矢筈(ヤハズ)と言われる小さい二股のパーツが付きます。

当然矢は弓から発射時にエネルギーを受け飛び出すのですが、鏃と羽根が付いていなければ綺麗に飛びません(例外はあります)。
矢が綺麗に飛ぶ基本的な仕組みは、弓から受けたエネルギーを重い鏃が一番蓄えて射出されます。ただそれだけでは、矢が横を向いて飛ぶことも多く不安定なので、まっすぐに飛ぶように後部に羽根を付け空気抵抗を増やし、矢の方向性を保ちます。凧に足を付け安定させるのと似ていますね。

これが矢を綺麗に飛ばす基本メカニズムです。おさらいすると、鏃が牽引し、矢羽根が軽くブレーキをかける事で安定を得るのです。どちらが欠けてもいけません。

次回は、矢羽根の役割についてさらに踏み込んでみましょう。