先週末、ナイフ制作ワークショップ2期の2日目が行われました。今回は、2期生に加え、1期の方で3日間参加できなかった方も加わりました。

1期の方は、約半年前に削った自分のナイフが焼き上がり、刃物として命が吹き込まれた状態になっているのを見て、ニンマリ♪これは皆なるんです(笑)

焼入れ前までは「ナイフの形をした鉄板」だったものが、「ナイフ」になっているんです。自分で焼入れを行うと、難しく失敗の多い工程なだけに、無事に焼き上がったときの喜びはとても大きいですが、その経験がない人でも、自分で作っているナイフの焼き上がった姿をみるとニンマリするんです。2期のみなさんも来月ニンマリしますよ♪

今回の主な作業は、ベベル削りとグリップの荒削り。ベベルとは、刃の傾斜部分です。これを削らないと本当にただの板なのでナイフを作るからには重要なのですが、メンドクサイのです!メンドクサイからといって作業が雑になると、簡単に明らかな失敗につながり、完成後も消えない大きな傷が残る事になります。2期の方は、その根気のいる作業を黙々とこなし、綺麗なベベルを削り出していました。

2日に分けて作業したナイフは、一括して熱処理業者へ発送済み。工場では本日熱処理が行われています!

みんなのナイフがうまく焼き上がるよう、祈っています。

刃物を研ぐには砥石が一般的です。様々な形の簡易型シャープナーもありますが、あくまでも応急処置に過ぎません。逆に、ランスキーシャープナーの様に、砥石を使いつつ研ぎ角を一定に保ったまま研げるジグもあります。


刃物を研ぐ際に最重要項目は「研ぎ角を一定に保つ」事ですから、ランスキーシャープナーは誰でも、技術がなくても刃物を上手く研げます。
ではなぜ私がランスキーシャープナーを常用していないのか?それは、面白みがないからです(笑)。毎回決まった手順で、毎回同様に正しくジグを装着し、ほぼ何も考えずに無心で手を動かす…  それはただの作業なんです。正直途中で寝てしまったことがあります!
ですから、私は基本的にオーソドックスな砥石を使って研ぐのです。毎回がチャレンジです♪

刃物の研ぎ方はベテランでも十人十色ですが、私はダイヤモンド砥石で荒研ぎ→人工(合成)砥石→天然砥石で仕上げの順番で研ぎます。最初にダイヤモンド砥石を使う理由は、研削力が高いのと、砥石の平面を修正するのがメンドクサイというズボラな理由からです!

次に人工(合成)砥石を使う理由は、30年近く前に買った砥石がちょうど使いやすかったので、ずっとそのまま使っているだけです。なかなかダメにならないので、ず〜っと使っています。死ぬまで使えるんじゃないかな?

最後に天然砥石です。天然砥石は、奥が深すぎます!正直よくわかりません(笑)インチキな商品も多いし、いい加減なコメントや売り文句も溢れています。そもそも正しく天然砥石を判断できる人がどれほどいるのでしょう?今の私には無理です。だから私の場合は、ある優秀な職人さんから言われるがまま購入したりしています(爆)
天然砥石は難しくも面白いです。人工(合成)砥石以上に刃物との相性もあります。しかし、相性の良いコンビだと綺麗に早く研げるんです。

もちろん、この組合せ以外でも全く問題ありません。細かい道具の違いよりも、先にも述べた「研ぎ角を一定に保つ」ことの方が圧倒的に重要だからです!

どれぐらい研げているか?の目安はみなさんどうやって判断していますか?僕は髭を剃って判断します。腕や足の産毛は思ったより簡単に剃れます。ですから最低でも産毛がそれる状態でないと許せません(笑)産毛チェックの次は髭チェックです。顎周辺に刃を当てます。バリが残っていると顔面が痛いです!逆に、研ぎ角が一定でなく刃が丸まっていると、痛くはありませんが髭が逃げてほとんど剃れません。
安全には気をつけて、みなさんもチャレンジしてみてください♪

おかげさまで、5月に開催予定の弓製作ワークショップの参加希望者が定員に達しました。ありがとうございます♪

今回参加しようと思っていたのに間に合わなかった方、スケジュールが合わずに参加を断念された方、参加するつもりはなかったのにジワジワ参加したくなってきた方、ご安心ください、日程はまだ未定ですが、年内に最低でも再び開催する予定です!日程の発表をお待ちください。

昨日(日曜日)ナイフ制作ワークショップの二期目が始まりました。清々しく晴れた朝の集合場所で受講生の方々と合流し、気持ちよく講習スタート♪ 灼熱地獄だった一期の初日よりも作業に集中できる気温でした(笑)

受講生もインストラクターも様々なアウトドア経験の中でナイフは使用してきています。興味もこだわりもあります!?気を抜くとついついナイフ談義におちいりそうになるので、講習が始まると急いで実作業へ移行します。

今日の作業で使用する電動工具はディスクサンダーが95%。そうです、例の頼りになるアイツです(笑)。確かに頼りにはなりますが、けたたましい音を発しますし、ちょっと手元が狂っただけで鋼の板にさえ深い傷を付け、仕上がりにちょっとした影を落とします。ですが、今回の参加者の皆さんは、丁寧な作業で安全に綺麗に加工され、1日目の工程を見事クリアされていました♪

この初日の工程は、ただの板からナイフの形を切り出す、変化と達成感の大きい工程なので大好きです。作業終了後に見た参加者の皆さんの笑顔からも同じ様に感じてくれているのではないかと、思っています。次回、2日目の工程は地道な作業が大半なので、全3日間の中で一番の頑張りどころです。一緒に乗り越えましょう♪

お疲れ様でした。

ヤジリは「鏃」とも「矢尻」とも書きますが、英語では「Arrowhead」です!矢の頭ですよ!イメージが逆ですね。

そんな鏃は太古から極めて多くの種類が生まれてきました。
・鉛筆の先端のように、ただ尖っているもの
・矢印の形をした、イメージ通りのもの

この2種類は王道ですが、火を点けて飛ばすもの、笛付きなども昔はポピュラーでした。中には鏃なのに尖っていないものもありますし、鏃に銃弾を仕込むものまで作られています!
その他も数限りない形が大きな期待と共に生まれ、そしてその多くが夢見たほどの成果がなく消えていきました。
鏃は、弓矢を構成する全パーツの中で、一番多種多様で入れ替わりも激しいのではないでしょうか?
現代でさえ、ハンティング用として新しいモデルが登場し続けています!

※日本国内では(弓)矢による狩猟は禁止されています!

弓の性能がどれほど上がろうと、矢のシャフトの素材が進化しようと、それは鏃を活かすためのものに過ぎません。獲物、昔の戦いであれば敵兵でもありますが、鏃が相手に働きかけ効果が発生するのです。鏃は小さな部品ですが、本来弓の存在意義の全てが詰まっていると言っても過言ではありません。人々の生活と希望も詰まっています。戦であれば戦っている人の栄誉や、果ては一国の行く末を左右することもありました。
矢を手にとった時、小さな消耗品である鏃に込められたものを感じてみてください。

矢羽根の素材は、天然の鳥羽→プラスチック→ビニール→フィルムと変化してきました。
プラスチック製のハードベインと呼ばれるスタイルは今日ではほとんど見られなくなりましたが、他の3種類は全て今でも使われています。
それぞれの素材は、どれもメリットとデメリットがありますので、そこに目を向けても面白い違いと人の工夫の歴史が感じられるのですが、そもそも矢羽根はどの様な原理で矢の飛翔を安定させることに貢献しているのか?根本的な部分を知ってみましょう。

前回のブログで、「矢羽根は軽いブレーキをかける事が矢の安定を生む」と書きました。その効果は「Drag=ドラグ」と呼ばれるもので、直訳は引きずるという意味です。その名前がしっくりくるか否かは人それぞれでしょうが、前回紹介した、空気抵抗による軽いブレーキ効果を矢の後方に与える事で矢に安定した直進性を与えるものです。

矢を安定させるもう一つの効果は「Spin=スピン」と呼ばれるものです。コレはコマが回転している間は安定しているように、矢を回転させることで安定を得る方法です。銃弾も散弾銃以外は基本的に同じ原理で弾を回転させ安定を得ますが、回転を得る方法は矢と違います。銃の場合は銃身内にライフリングと呼ばれる螺旋状の溝が掘られてあり、銃弾がその溝に食い込みながら発射されることで 回転を受け取るのです。矢の場合は矢羽根の空気抵抗で回転を発射された後から得ます。ですから、シャフトに対して羽根を付ける角度を変えることで、矢の回転数を変化させることが可能です。

二枚の写真を比べてみると、ほとんど真っ直ぐ羽根が付いている左側に対して、右の写真では羽根の角度が強いのがわかると思います。
スピンの効果を得ようと羽根に角度を付けると、スピン効果と同時に空気抵抗が増すのでドラグ効果も高まります。

おさらいすると、綺麗な矢の飛翔には矢羽根が重要で「ドラグ」と「スピン」の効果を生むことができる。ということです。

今回は、矢を構成するパーツとその役割を紹介します。

前回のブログで矢の素材について触れましたが、それはシャフトや矢柄(ヤガラ)と呼ばれる棒状の主要部分の事です。
矢を構成するその他の基本的なパーツとしては、シャフトの先端に鏃(ヤジリ)=ポイントが付き、シャフトの後部には矢羽根(ヤバネ)=フェザーが付き、後端には弦を挟み込み位置を固定するノック=矢筈(ヤハズ)と言われる小さい二股のパーツが付きます。

当然矢は弓から発射時にエネルギーを受け飛び出すのですが、鏃と羽根が付いていなければ綺麗に飛びません(例外はあります)。
矢が綺麗に飛ぶ基本的な仕組みは、弓から受けたエネルギーを重い鏃が一番蓄えて射出されます。ただそれだけでは、矢が横を向いて飛ぶことも多く不安定なので、まっすぐに飛ぶように後部に羽根を付け空気抵抗を増やし、矢の方向性を保ちます。凧に足を付け安定させるのと似ていますね。

これが矢を綺麗に飛ばす基本メカニズムです。おさらいすると、鏃が牽引し、矢羽根が軽くブレーキをかける事で安定を得るのです。どちらが欠けてもいけません。

次回は、矢羽根の役割についてさらに踏み込んでみましょう。

矢が何でできているか?イメージしたことはあるでしょうか?
大昔から近代までのものすごく長い間、木や竹(笹)などの天然素材が使われてきました。その後、アルミ→カーボンと移り変わっていきます。アルミとカーボンの複合材やグラスファイバーなども使われますが、乱暴にまとめると、天然素材→アルミ→カーボンという流れです。
弓が戦場の主役だった頃の矢は全て天然素材で、主役を銃にあけ渡し、競技やハンティングの世界に移ってから近代的な素材へと変化しています。
弓が主役だった頃にそれらの近代的な素材は存在しなかったでしょうから当たり前ですが、歩みを止めずに進化し続けているのは、嬉しい限りです♪しかも、昔ながらの素材の弓や矢が今でも入手可能であることは、時代の移り変わりを体験することができるので趣があります。
日本でも、伝統的な和弓を射つことも、オリンピック競技でもあるリカーブボウを射つことも、技術の最先端であるコンパウンドボウを射つこともできます。ひと括りにすれば全て「弓」ですが、それぞれ違った面白さがあるのを楽しめますし、それぞれが生まれ活躍していた(している)時代に思いを馳せることもできます。

もう一つ、単純な素材の変化以外にも、ものすごく大きな発見がありました!
それは「アーチャーズパラドックス」と呼ばれる現象の発見で、矢は射ち出しから18mぐらいまでは、うねうねと蛇の様に蛇行しながら飛ぶんです!これを言葉で説明するのは長くなりますし、多くの人は退屈するでしょうから省き、かわりに1本の映画を紹介します。それは、「メリダとおそろしの森」です。この劇中に矢を射る瞬間のクローズアップが登場しますが、そこで丁寧に描かれています。ぜひご覧ください♪

この矢がうねうねと射出されるアーチャーズパラドックスのおかげで、矢に付いた羽は弓に当たらず綺麗に飛ぶのです。競技などで精度を求めつつ弓を射つなら、このアーチャーズパラドックスを適切に調整しなくてはいけません。弓の強さ&矢の硬さ&鏃(ヤジリ)の重さ&射手のフォームや癖が複雑に絡み合うので、それらを繊細に調整し自分にとっての正解を探り当てるのです。
本来命中率を上げたいのなら矢はウネウネしない方が良いのですが、射出時には好都合な現象ですのでパラドックスと言われます。

このアーチャーズパラドックスの探求(=スパイン調整)をめんどくさがる人もいますが、正しく調整した矢は綺麗に飛びます。自分の射った矢が何十メートルも綺麗に飛び、的確に的を射抜いた時は快感です♪
今年の5月には、弓のワークショップも予定しています。この快感を体験したい人はぜひご期待下さい!

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

年明け一発目のブログは、去年第1期が開催されたナイフ製作ワークショップ 2期目のご案内です。1期の参加者さんたちからの反応、1期に参加できなかった方からの要望にお応えするために、2021年最初のワークショップとなりました。
トップページ左側メニューの中の「ワークショップ」をご覧ください。

後半戦は映画もマイナー気味ですし、ウンチクもマニアックになっていきます(笑)

●ハンガー・ゲーム
主人公のカットニスは、ロングボウとリカーブボウを使います。
ロビンフッドでも登場したロングボウは父親の自作ということになっていて、森の倒木の中に隠してありますが、これは理にかなった演出です。ロングボウはシンプルなD型で、ストリングを外すとほぼ直線的な棒状になりますから、虫食いなどで内部が空洞になった倒木などの中に隠す(入れる)には好都合なのです。
またシンプルな形というのは作るのも楽ですから、自作という想定に現実味を帯びます。もちろん、フィクションですからなんでもかんでもリアルにする必要はありませんが、ズレた演出ばかりよりも状況に現実味を感じられた方がより楽しめるでしょう。
このシリーズでカットニスは、そのロングボウ以外はリカーブボウを使います。
リカーブボウの使い方として特別なものは感じませんでしたが、先に出ていたロングボウとの対比で、洗練された環境やその弓が製造できた技術力の差を表しているのでしょう。とはいっても、他に登場する航空機など桁違いの技術が詰まった物が登場しますが(笑)

●神弓
これは韓国が舞台で、「丙子の乱」を時代背景として持っています。サブタイトルがちょっと…ですが、アクション映画として弓好きには楽しめる作品でしょう。
弓にフォーカスしてみると、満州弓と朝鮮弓(角弓とも言われる主人公側が使っている弓に勝手に名前をつけました)は見た目が似ていますが、サイズに違いがあります。その辺りを映画の中でも軽く触れているのは、驚きました。
劇中、主人公は矢を曲げて飛ばすことができ、障害物の後ろの敵をも射抜きます。この映画が公開された後にYoutubeでも「カーブアロー」などのタイトルを付け、なんとか再現して動画をアップしている人もいますが、現実的な効果には疑問が残ります。とはいえ、アクション映画の味付けとしては面白いですね♪
もう一つの見所として、長さの極端に短い矢を使うシーンが出てきます。コレは実在する技術で、日本の和弓にも「管矢」という名称で残っていたりもします(流派等で呼び名が違っているのも存在するかもしれません)。※ここでは劇中のものも管矢として表記させてもらいます。弓矢というものは、基本的に矢をつがえ引き絞った時に弓と矢が交わっているものです。矢が短くてヤジリが弓よりも手前にあると、弓を押している自分の手を怪我するリスクが高まるからです。例外は矢の飛距離を競うフライト競技と、この管矢があります。短い矢を使うと安全上のデメリットは大きいですが、矢を短く軽くできるというのは飛距離を伸ばすだけでなく、少資源ですむので戦争の主要武器だった頃には大きなメリットにもなったでしょう。

●キリングゲーム
映画の背景などは全て割愛し弓目線で話を進めると、この映画の戦いはコンバウンドボウvsロングボウでスタート(?)します。コンパウンドボウはランボーも使っていた滑車付きの弓で、パワーと精度に秀でますが、良くも悪くも弓が持つプリミティブなロマンや印象からは少し離れ、製造メーカーの技術力や科学力など近代的な匂いが強くなります。
話を戻すと、コンバウンドボウvsロングボウでスタートしますが、コンパウンドボウは早々に壊れます!(ランボーの時のタフなイメージとは逆ですね)そして、即席のサバイバルボウを自作し優勢を取り戻します。
ここで、サバイバルボウというジャンルが登場しますが、サバイバルボウは2種類あります。サバイバル時に備えておくための小さく収納できる弓と、現場で即席で作る弓です。この映画で登場するのは後者です。
即席で作るサバイバルボウは他の映画でも時々登場しますし、各種サバイバルの教本でもよく目にしますが、既成品の弓に比べると圧倒的に性能は低いので、過信をしないことです。

さて、前編後編と2回に渡って書いてみました。少しでも弓が登場する映画はまだまだたくさんあります。そんな時に、どんな弓を使っているのか?どんな使い方をしているのか?など、少しでも映画を見る時のスパイスになれば幸いです。

次回は矢に目を向けてみましょう。